こころの体操(産業医コラム)

ストレスは「イライラ」ではない?

こんにちは。産業医の得津です。

 

前回は、メンタルヘルスが世の中の問題になっていて、その大きな要因の1つがストレスだというお話をしました。

ストレスに適切に対処するためには、まずはストレスそのものについて理解を深めると良いと思います。今回は、「そもそもストレスとはなんなのか?」ということをお話したいと思います。

 

ストレスという言葉には皆さんも日常的に使うことが多いかと思います。「昨日はストレスが溜まった」、「あの人はすごくストレス」、「私はストレスが多い」など。このように私たちはストレスのことを「イライラすること」や「嫌な気持ち」として捉えていることが多いように思います。

 

しかし実は、ストレスというのは「イライラすること」ではありません。もともとストレスというのは、「物体の内部にかかる力」という意味でした(物理の用語で応力といいます)。ボールで例えると、ボールを上から手で抑え込むことによって、ボールの内部に圧力がかかります。このことから転じて、心の中に生じている圧力のようなものを「ストレス」と呼ぶようになったのです。そしてこの時、ボールを押す手、つまりストレスの元を「ストレッサー」と呼びます。

 

したがって、ストレスの元「ストレッサー」が、私たちの心に中での圧力「ストレス」を引き起こし、そのストレスに対する反応として「イライラ」という気持ちを私たちは感じている、と考えることができるのです。これは、カナダ人生理学者ハンス・セリエが50年以上前に提唱した構図(モデル)です。

 

さて、これを先程の例で考えてみましょう。「昨日はストレスだった」というのをこの構図に当てはめると、例えば、「外出できないことによって友人に会うことができず、我慢したことがストレッサーとなって心に負担をかけた結果ストレスが生じ、イライラした気分になった。」といったように言い換えることができます。

 

イライラした気持ちだけに注目するのとは大きな違いがあるのではないでしょうか。

単に「昨日はイライラした」という認識だけでは、そのイライラした気分だけにとらわれてしまい、それがさらに他のストレスを増やしてしまうかもしれません。しかし、このように少し客観的にストレスとその原因であるストレッサーを考えてみることで、ストレスに対する適切な対処につなげることができるのです。

 

上記の例では、友達に会うことを我慢せざるを得なかったのが原因でしたから、「会えないが電話やメールをしてみる」「他の友達に会ってみる」といった行動でストレスを軽減することができるかもしれません。

 

このように、ストレスに適切に対処するために、ストレスを感じたときに、ただ嫌な気持ちを感じるというだけでなく、「なにがストレッサーで、どのようなストレスを感じているのか」を意識することで、ご自身の心の動きをいつもより客観的に見て、行動につなげてみてはいかがでしょうか。

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