JSここメン | 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

ストレスによる顎の痛み

こんにちは産業医の得津です。

 

 

口を開いた時に顎に痛みを感じたり変な音が鳴ったりすることで困っている方はいらっしゃらないでしょうか。実はそういった顎の痛みはストレスが原因になっていることがあります。

 

 

顎関節症は顎の関節がずれてしまうことで口を開けたり閉めたりする時に、ガクッという音がしたり痛みが生じる病気です。食事をする時に物を食べようとして口を開けた時に痛みを感じることがある他、会話をする時ですらも痛くなることがあります。 これが悪化すると頭痛を感じたり肩こりの原因にもなったりすることがあります。さらに、めまいや聞こえにくさを生じることがあるなど、顎関節症は様々な症状が広がることがあります。

 

 

この顎関節症の原因の一つとしてストレスが挙げられます。ストレスや不安といった心理的な影響で歯ぎしりや食いしばりをすることが顎の関節に負担をかけて顎関節症を引き起こしてしまうのです。

 

 

人間には緊張したりストレスを感じた時には歯を食いしばるという本能があります。歯をくいしばることで素早く体を動かしたり力を入れることに備えるためです。しかしながら、現代社会ではどちらかと言うとそのような身体的な恩恵を得られているというよりは、あまりにもこのような緊張状態が長く続くと、ストレスによる様々な影響が問題となってしまいます。その一つが顎の関節への影響による顎関節症であるということです。

 

 

また、適切ではない姿勢の継続や疲労が関係するとも言われています。猫背になったり長時間のパソコン作業によって顎の関節に不適切な力が長時間かかることがあります。このような面も含めて心身の疲れやストレスが関連しているというわけです。

 

 

このような症状が出て困っている場合は歯科を受診するようにしてください。症状がひどい場合はマウスピースなどを使って顎に力がかかりにくくすることができます。 顎関節症は長い時間をかけて発症するものですからマウスピースをつけても治療には少なくとも数ヶ月かかるケースが多いようです。

 

 

そして、ストレスが原因となって顎関節症を発症している場合は、マウスピースや食べ物の食べ方の改善などによる物理的な治療だけでなく、そのストレスの根本的な原因について対処していく必要があります。

 

 

どのようなタイミングで自分が歯ぎしりや食いしばりをしているかということにまず気づく必要があります。それは自分がどのようなタイミングでストレスを感じているかということ、つまりこれまでもお話してきた、ストレスに対処するためにまず自分がストレスを感じていること自体に気づくということを促してくれます。

 

 

このように顎関節症のようなストレスの影響が体の症状として現れている場合は、ストレスに対する体の反応に注目することによって自分がストレスを受けているということに気づくことができます。そして、その要因が何なのかということをその都度意識することで、必ずしも感じる必要のない不安やイラつきといったものを抑え、ストレスにうまく対処することができるようになるでしょう。