こんにちは、産業医の得津です。
ご自身の性質や性格に対してネガティブなイメージを持っていらっしゃる方がいます。「優柔不断でくよくよ考えてしまう性格です」「ミスが多くてせっかちのためにいつもバタバタして疲れてしまいます。」といったように、「自分はよくない性質を持っている」と考えて日々過ごしていることがあるのです。
このような考え方にとらわれていると、何かネガティブな事が起こった時にいつでも自分の性格のネガティブな面のせいにしてしまうことが多くなってしまいます。そしてそれを続けていると、自分の行動や可能性を狭めてしまいますし、できることが少なくなって何事にもストレスを感じてしまうようになるかもしれません。
実際は、物ごとには全て二面性があります。つまり物事そのものは良いも悪いもなく、同じことでも場面によっては悪く働いたり、良い方向に働いたりすることがあると捉えることもできるということです。このような自分のイメージに対する思い込みの考え方の枠組みを外して、別の角度から捉え直すことを「リフレーミング」と言います。
リフレーミングによって、ネガティブに考えていた自分の性質を、今までとは違った角度からアプローチしたり、解釈を変えることで、 その性質をポジティブにとらえて、積極的に活用していくことができます。これによって自分の可能性を広げることができるのです。
具体的にどのようなリフレーミングの方法があるか考えてみましょう。先ほどの例で言うと「優柔不断でくよくよ考えてしまう」というのはどのようにリフレーミングすることができるでしょうか。よく考えるということは、「慎重で失敗をしにくい。人への気遣いがあって、協調性がある」という面もあるのではないでしょうか。
また、「ミスが多くてせっかち」というのはどのようにリフレーミングできるでしょうか。せっかちということは「物事をテキパキと元気よくこなすことができる」ということかもしれません。
この考え方は自分自身の性格だけでなく、目の前に起きた出来事の解釈にも使うことができます。 一見、失敗や逆境というのはネガティブに捉えがちですが、学びや成長の機会と捉えることもできるからです。
例えば、想定外のことが起きてミスを起こしてしまい、「自分は何て不注意な人間なんだ」と感じたきはどのようにリフレーミングすることができるでしょうか。そのミス自体は失敗と捉えることもできますが、成長の機会ととらえることもできるのです。
つまり、「この出来事が起きたことによって事前にしっかりと準備しておくことが大切だと学ぶことができた。もしこういった機会がなければ自分は将来的にもっと重大なミスを起こしていたかもしれない。今後は同じような失敗を起こさなくて済む。」というように考えることはできないでしょうか。
仕事がきつかったり不利な状況に置かれているような時でも、「この逆境を乗り越えられるかどうか自分は試されている。これを乗り越えた後は自分は大きく成長しているだろう。」と考えることで、目の前の状況自体をチャンスとして捉えることができるかもしれません。 嫌なことを言われた時は「こんなことを人に言うとその人は嫌な思いをするかもしれない。自分は他の人にはこんなことを言わないように気をつけよう。」という教訓にすることもできるのです。
このようにリフレーミングというのは、自分自身の性格や出来事に対してネガティブな思いにとらわれるのでなく、それを客観的に見ることで、今後の活力につなげることもできます。どのような出来事にもこの考え方を使うことができますから、捉えようによっては、単純にネガティブな出来事というのはないのかもしれません。
そして、このような考え方をすると自分をポジティブに認識することができるようになりますし、物事を別の角度からとらえなおす能力を身につけることができます。 また、落ち込んでいる人を励ますことにも使える方法です。次に何かネガティブなことを感じた時はこのリフレーミングを試すチャンスです。ぜひ試してみてください。