JSここメン | 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

出来事ではなく自分の感情に目を向けよう

こんにちは、産業医の得津です。

 

 

生活や仕事をする上で、様々な出来事が起こります。ですが、周りで起こる出来事を完全にコントロールすることは誰にもできません。時には嫌な出来事が続くこともあるかもしれません。「嫌なことがたくさん起こっているな」 と考えるだけでも、ネガティブな気持ちになってきます。

 

 

しかしこのとき、起こった出来事がポジティブなものであるのか、ネガティブなことであるかということは、自分自身が判断しているにすぎないという考え方も、できるのではないでしょうか。

 

 

起こった出来事そのものに良い悪いがあるのではなく、それが悪いものであると自分が無意識に捉えることで、その出来事が起こることで自動的にネガティブな気分になっているのです。このような状態では、身の回りで起きている出来事に、自分の感情をコントロールされてしまいます。

 

 

ですから、周りで良い出来事が起こっているのか悪い出来事が起こっているのか、ということに注目するのではなく、あくまでもそうして起こった出来事に対して自分の心がどのように反応しているのか、ということに注意を向けると良いでしょう。

 

 

たしかに、どう考えても良くないものとしか考えられない出来事はあるかと思います。しかしながらその良くない出来事に対して、自分がどの程度の嫌な気持ちを感じているのか、嫌な気持ちというのは、心配なのか、恐れているのか、悲しい気持ちなのか、そしてなぜそのような気持ちが生じてくるのか、ということを考えてみてください。

 

 

中にはよく考えると、深い理由はなくただ漠然とした不安を感じている、ということもあります。そして、不要な不安を感じすぎているということにも、気づくことができます。

 

 

例えば、「明日、新しい人が職場に来る」という状況で、漠然といやな気持ちになっているとします。明日新しい人が来るということ自体は、よく考えると良いことでも悪いことでもありません。けれども、なぜ自分がそのことに嫌な気持ちを感じているかということを考えると、「自分に合わない人だったらどうしよう」という不安を感じているからかもしれません。

 

 

なぜそのような不安を感じるのでしょうか。それは、以前新しく来た人が苦手な人だったからかもしれません。今度来る人も苦手な人なのではないか、という不安を感じている事がわかるわけです。

 

 

とはいっても、前来た人が苦手な人だったからといって、明日来る人が苦手な人かどうかはわかりませんし、いずれにせよ明日になってみなければどのような人が来るか分かりません。ですから、今そのような不安を感じていても、しょうがないということに気づくことができると思います。そうすると、「今考えてもしょうがない」「まぁいいか」と思うようになって、不安を小さくすることができるのではないでしょうか。

 

 

このように、出来事に対して自動的に生じる嫌な感情に振り回されるのではなく、あくまでも出来事に対しての自分の感情に注目することで、仮にそれがどう考えてもネガティブな出来事だったとしても、少なくとも望ましくない感情の反応をコントロールしやすくすることはできるのです。感情は自分の意思に反して勝手に生じるものですから、そうした心の動きをうまく捉えてコントロールできるようにしておきましょう。