JSここメン | 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

夜勤前に気をつけておきたい過ごし方

こんにちは、産業医の得津です。

 

交代制勤務で夜勤をされている方も多いかと思います。またこれから夜勤を始めるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

夜勤は平日の昼間に自由な時間があることで混雑を避けて買い物ができるなど、日常生活でのメリットもあるのですが、夜勤をする際には生活上、気をつけておきたいポイントがあります。なぜなら、夜勤は少なからず健康に影響を与えるということが分かっているからです。 

 

午前3時から明け方にかけて眠気が強くなると言われています。その際に作業能力が落ちてきますから、十分な休養をとった上で夜勤をしなければ、重大なミスや事故が発生してしまうリスクが高まります。

 

日中であれば慣れた作業でも夜にすることで思ってもいないような間違いを起こしてしまうことが多くなると言われており、また夜勤は人でも十分ではないことがありますから問題への対処がしにくくなるということが問題になることもあります。

 

また昼間に比べて夜の勤務は心身に負担をかけると言われています。同じ労働時間や作業内容だとしても、疲れやすくなりますし、ストレスもたまりやすくなるといわれています。

 

この要因としては、昼間の睡眠の質は夜眠るのに比べてあまり良くないという傾向があること、昼間に寝たとしても疲労回復の効果が低く、その実感も得られにくいということが挙げられます。

 

 

また、身体的な面でも特にホルモンバランスへの影響があると言われており、具体的には糖尿病のリスクが高まると言われています。同様の理由から太りやすくなるとも言われていますから、生活習慣病には気をつける必要があります。重度の糖尿病の方が夜勤の業務をする際は十分な配慮が必要になるのはこのためです。 

 

さらに、通常睡眠中には起きてる間のストレスの要素を解消する役割があると言われていますが、この睡眠中のストレス緩和の効果も、夜に眠るよりも少なくなっているとされているのです。

 

また、夜勤をすることで日中眠る必要が出てきますから、家族や友達との交流がしにくくなることもあるかもしれません。このようなことから、ストレスの蓄積による心理的負担も高まることが考えられますから、メンタル不調に何らかの影響を及ぼしている可能性もあります。

 

 

このような健康影響を少なくするにはどうすれば良いでしょうか。まず一つは、基本的なことですが、いつ眠るにしても普段から良い睡眠を取っておく必要があるということです。寝る場所はリラックスできるような環境を整えておく必要があります。日光が入ることは避けた方が良いですし、夜に寝る時でも街灯や外の電灯が差し込んでいる状態で寝るのは好ましくありません。遮光カーテンやアイマスクを使うことを検討してください。

 

 

また、騒音があるような環境で寝ることに慣れてしまったとしても知らずの間に睡眠の質を下げてしまっている可能性があります。 壁や窓に設置するタイプの防音シートや防音機能の付いたカーテンを使用することも検討してください。 特に日中は睡眠の邪魔になりがちなことが怒りやすい環境と言います。寝ている間はスマホのアプリの通知は切っておいた方が良いと思いますし、宅配等がない日であればインターホンの音を消しておくことも考えられるでしょう。

 

 

次に、寝だめというのはできないことに注意をしてください。確かに睡眠不足になってしまった後はいつもより長い時間寝ることで疲労を軽減することができるといわれています。

 

しかし、あらかじめ長い時間寝たからといってその後の睡眠の必要性をなくすことはできず、無理に長時間寝ることによりかえって睡眠の質を下げてしまいます。 もし夜勤前に疲れが十分に取れていないと感じた場合は2時間程度の仮眠である程度の疲労解消ができるといわれています。 

 

 

また食事は睡眠と同じように生活リズムに大きな影響を与えます。夜勤か日勤かにかかわらず、夕食は同じ時間に取るようにしたほうがリズムが作りやすいと言われているようです。夕食を食べずに夜勤を始めて途中で夜食を食べることはなるべく避けた方が良いでしょう。 特に夜食の栄養バランスは偏りがちになるため、勤務形態にかかわらずバランスの良い食事がとれるように気をつける必要があります。 

 

 

このように、夜勤は生活上のメリットもありますが健康への影響が出る場合があるので、特に睡眠や食事については、基本的には日中の生活リズムをベ ースとして夜勤を取り入れることが負担軽減のためには大切だと言えるかと思います。 

 

次回以降、夜勤中や夜勤明けの生活についてお話ししたいと思います。

 

 

参考文献:日本看護協会 「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」