こんにちは、産業医の得津です。
今日は夜勤明けの過ごし方のポイントについてお話ししようと思います。交代制勤務の経験が長い方にとっては自分なりの過ごし方もできてきているかと思いますが、夜勤にあまり入ったことがないという方がいらっしゃいましたら、基本的なポイントを知っておくとよいと思います。
まず、夜勤明けは自動車事故が多いと言われています。集中力が下がってしまっているでしょうから当然のことですが、特に疲れが溜まっている時や強い眠気を感じたときは、事故を防ぐための判断をすることが必要になります。
許可を取って夜勤明けに仮眠をさせてもらうという方法も考えられますし、あまりにも疲れている場合は公共交通機関を使って帰ることも選択肢の1つとして検討するようにしてください。やむを得ず自家用車で帰る場合は、地域にもよりますが、冬でも窓を少しあけるなどして換気をしながら運転すると眠気が和らぎます。
さて、家に帰るとなにか家事をしなければならないと考えてしまいがちですが、帰ったらすぐに仮眠ができるような環境を整えておくことが重要です。昼間寝るときの注意点としては、 厚手のカーテンで防音をしたり、光が気にならないようにアイマスクを使ったり、携帯やインターホンの音を消したりといった工夫をするとよいということは以前にもお伝えしたとおりです。
なお、夜勤中にコーヒーなどのカフェインの含まれた飲み物を飲む習慣がある方は、あまり朝に近い時間帯に飲みすぎると帰宅後にうまく眠れないということになってしまいます。カフェインの覚醒効果は4時間程度続くと言われていますから、そこから逆算してカフェインをとっても良い時間帯を決めておくと良いでしょう。
家に帰ってからは2時間程度の睡眠をすることがまず必要です。 帰宅後の睡眠が大切とはいえ、あまり長く眠りすぎるとその日の夜に眠れなくなってしまったり、睡眠の質を下げてしまうことに注意が必要です。日中に活動しているリズムができている人が昼間にあまり長く寝すぎると、疲労が溜まりやすくなってしまいます。
あくまでも昼間に起きているサイクルを基本として過ごした方が体にとっては楽なことが多いですから、帰宅した後に数時間の睡眠をした後はなるべく日中にしっかりと起きておくことを心がけるとよいでしょう。
ただし、夜勤明けの日は通所の生活リズムに戻すための期間といえますから、あまり疲れるような無茶なことはしないようにしましょう。昼間に目を覚ますことは大切ですが、睡眠不足となっていることは間違いないので、その日の夜も早めに寝ることを心がけておきましょう。
人手が少ない職場では、夜勤が連続しがちになっているかもしれません。夜勤が休日を挟んで連続している場合は、夜勤明けの日は体力を温存しておく必要があります。そして、休日を挟まず連続するような場合は、夜勤前に数時間の睡眠をとる方法もあります。
それでも、基本的には日中に働くことをベースとしている方が多いですから、夜に起きることが通常の生活リズムとなってしまうと、今度は日中に働くのがきつくなってしまいます。日中の仕事の方がエネルギーを必要とすることが多いためです。
ですから、夜勤明けに短めの睡眠をとり、午後はできるかぎり起きて穏やかに過ごし、夜勤中には仮眠をすることで、なるべく昼をベースとした生活リズムを崩さずにしておくと、慢性的な疲労には繋がりにくいと考えられます。
このように、通常の睡眠サイクルを維持するという点に少し注意が必要な夜勤ですが、実は平日の昼間に活動しやすいというメリットもあります。混雑の少ない時間帯に買い物をすることもできますし、同じように交代勤務をしている人と平日に休みを合わせるといったことも考えられるでしょう。
参考文献:日本看護協会 「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」