JSここメン | 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

早期に受診した方が良い理由

こんにちは産業医の得津です。

 

 

様々なメンタル不調のある方から相談を受けていますが、その多くの場合はすでに受診が必要な状態であることが多いように感じます。

 

 

当然ですが、相談いただく際には、何かしらの症状が出ていることが多くあります。

 

 

そのとき、単純に不安なことがあるだとか、悩みがあるといった、病的とは言えないような状態であれば良いのですが、実際に気分が落ち込んだりして仕事がうまくいかなくなってしまったとか、生活に影響が出ているという状態が続いているということがかなりあるわけです。その際、どの程度のメンタル不調があれば病院で受診した方が良いのかという疑問に対して、なかなか答えが出せないので受診できずにいるという方が多いように思います。

 

 

受診するタイミングについてアドバイスするときは、必ずしもうつ病などの診断がされるかどうかというよりは、そういった症状で困っているかどうかということを基準にしています。

 

 

具体的には、「ご自身のそれまでのご経験の中で、初めてそこまで強い症状やその症状が長引いていると思える場合や、その症状があるせいで仕事や生活が上手くいかないという感覚がある場合は、精神科や心療内科への受診をお勧めします」とお伝えしています。

 

 

それでもなお、なかなか病院を受診に踏み込めない場合は、なぜ早めに受診した方が良いかということをご説明するようにしています。

 

 

早く受診した方が良い理由は単純で、メンタル不調の症状が強くなってしまった場合は、ますます体力的にも気力的にも余裕がなくなることで、受診しようという決断や行動ができなくなってしまうからです。メンタル不調に対して病院で受診するということをしたことがない方も多いでしょうから、 やはり症状が強くないうちに初めての受診をしておく必要があるのです。

 

 

もちろん受診をしても薬などが処方されず経過観察で済むことはあります。ただ、特に初めてメンタル不調で受診する場合は、薬をもらうということ自体を目的にするというよりは、そもそもどこの診療所に受診しようかだとか、主治医の先生はどんな人柄だろうかとか、受診するにはどれぐらいの時間がかかるのか、といったことを確かめることも重要なのです。

 

 

そして、不安が強まったり気分が落ち込んできたときに相談できるような、かかりつけ医を持っておくことが何よりもの安心感につながると思います。「今のような精神的に辛い状態がもっと続いたらどうしよう」、「不安がどんどん高まっていってしまったらどうすればいいんだろうか」 ということを心配をしながら日々生活するというのはそれだけでも心理的な負担になってしまうのではないでしょうか。

 

 

一度でも受診をしていれば、「この症状がどうなるかはわからないけれども、万が一ひどくなってしまっても、あの時に診てもらった先生に相談すれば良いんだな。」 と考えることができます。そして本当に症状が悪くなってしまった場合にも、仕事をどうするかだとか、生活上のアドバイスをもらうことがそれ以上症状を悪くしないためにも大切になってくるわけです。

 

 

なお、初めて受診する先は大きな病院よりもかかりつけ医となる診療所で受診されることをお勧めします。大きな病院は待ち時間がとても長いことがありますし、初診料が高くつくことがあります。そして、職場の近くというよりはできれば自宅の近くの診療所で受診すると良いでしょう。万が一休職をしなければいけなくなった場合は自宅に近い方が通いやすいからです。

 

 

受診をする際には予約を取る必要があることが多いようです。実際、メンタル不調を診療する診療所には多くの患者さんが受診されていることに驚くかもしれません。受診する前にはまず電話をして予約が必要かどうかを確認されると良いでしょう。

 

 

このように、メンタル面での不安を感じた場合は、それを問題だと感じた時点で、早い段階で受診されることをお勧めします。