JSここメン | 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

自信をつけるには

こんにちは、産業医の得津です。

 

何をするにも自信がないと悩んでる方がいらっしゃいます。仕事について分からないことがあっても相談する自信がなくて自分から相談することができなかったり、自分の考えを自信を持って相手に伝えることができないためにコミュニケーションが難しくなったり、体調が悪い時に休みたいと思っているのにそれを伝えられなかったりすることがあります。

 

 

このように何事にも自信がないという方は「自己効力感」が低くなっているのかもしれません。自己効力感とは、「そのことがうまくやれるんだ」という自分の能力に対する確信や自信のことです。何か行動をしようとしている時にその行動によって結果が達成できると考えることができればその行動をとることができます。

 

 

自己効力感には大きく分けて3つのタイプがあるといわれています。「自分の行動を自分自身がコントロールできる」という基本的な自己効力感と、「対人関係において相手とコミュニケーションがうまくできる」という自己効力感、「仕事や勉強」などに対する自己効力感があります。

 

 

自己効力感が高い人は、何か目標を達成するために積極的に行動しようとします。行動した結果、失敗や困難なことがあっても諦めずに努力します。そしてそれを達成する間の行動をしている時もストレスを感じにくいという特徴があります。同じことに直面しても心理的負荷が少ないわけです。

 

 

一方、自己効力感が低い人は、「目標を達成することができないのではないか」という不安が強く、実際に目標を達成するための行動をすることができません。このことから何をするにも自信がなく、本当は自分がしたいことをすることがしにくい状況になっています。

 

そしてこの状況が、さらなるストレスを招いてしまいます。

特に対人的な自己効力感の低さは、職場で様々な問題を起こしてしまいます。 先ほどの例で言うと、自分の考えを表したり説得をしたりコミュニケーションをしたりといった対人的な自己効力感が低いために、体調が悪くてもそれを相談することができないということになります。

 

そのため体調が悪くても何らかの対策をすることができず、体調が悪い状態で仕事を続けることになりますから結果的にさらに体調が悪くなってしまうということになります。「なぜ体調が悪いのに相談をしなかったのか」 というように責められてしまうこともあるかもしれません。 

 

 

では自己効力感を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。自己効力感は下記のような時に高まると言われています。

 

 

最も自己効力感が高まりやすいのは、成功体験です。過去に同じことをやった経験や似たような事をやった経験があればできるという気がしてくるかと思います。逆に失敗ばかりした体験を思い出しすぎるとそれができるという自信がなくなってしまいます。そのような状況で成功体験を作るには、全く同じ体験ではなく、小さな成功体験をすることが大切です。

 

 

よくあるパターンとしては、大勢の前で発表をする自信がない場合は、少人数を前に発表することで自信を持って本番で発表ができるということが挙げられます。ですから例えば、難しいお願いをしたり重要な相談をする自信がないのであれば、

 

日々の業務のことを相談したり、受け入れてもらえそうなお願いを相談してみることならできるかもしれません。当たり前に出来る事や、ほんの少しだけエネルギーが必要だけれども確実にできるだろうと思えることをやり続けることで、できるのではないかと思える範囲の行動をどんどん広げることができます。

 

 

次に、代理的体験というのも自己効力感を高めると言われています。 これは、「あの人にもできるのだから自分もできるのではないか」と思うと自信が出てくるというものです。似たようなことをしていた人は周りにいませんか? その人ができるのであればあなたもできると考えることはできないでしょうか。 具体的な情報があった方が、効果があると言われていますので、是非その人にどうやってそれをしたのか尋ねてみると良いでしょう。

 

 

そして、言語的体験というのも自己効力感を高めると言われています。これは自分が信頼できる人に「大丈夫。できるよ。」などと言われることによって自信が出てくるというものです。ですから、何かしようと思う時にそれをする自信がない時は、仲のいい人や同僚に「こんなことをしてみようと思うんだけれどもどう思う?」と尋ねてみましょう。

 

 

自信がなくて行動ができずに困っていらっしゃる方は、本当はそのことをしなくてはならないししたいと思っているにも関わらず、行動することができないという状況になっていることによって、さらに状況が悪くなってしまったりストレスを感じてしまったりすることがしばしばあるように思います。

 

 

その行動をしたいと思っているのであれば、上記のようなポイントを試してみることで、自然に自分が行動できるような状況を作ってみることをお勧めします。 できると思えることからやってみて小さな成功体験を作ることが大切です。